潜在保育士ってなに?復帰しない理由は?

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潜在保育士とは

「潜在保育士」とは、保育士の国家資格を持っているものの、保育士として勤務をしていない人のことです。

保育士の仕事は児童福祉法に定められており、資格がある者だけを限定して職務に就けるようにしています。

そのため保育士試験はかなり高い難易度に設定されており、学校過程を経る場合であっても国家試験を受ける場合でも、かなり深く学習をしていくことが求められます。

しかしそれほど苦労して保育士資格を取得したにも関わらず、かなりの人数が保育以外の仕事についているのが現状です。

2015年10月時点の厚生労働省の調査によると、全国の潜在保育士数は約76万人です。
実際に保育の仕事に就業している人数は約43万人となっているので、資格を取得しても大半の人が保育士として仕事をしていないことが分かります。

保育士資格を得られる保育士国家試験は現在年に2回に増やされており、保育士人材の不足に対応するべく資格の取得条件は緩和されています。

にも関わらず保育人材が不足している背景には、保育士として仕事をしていく厳しさがあります。

潜在保育士の多くは本心では保育に関する仕事をしたいと思っていつつ、条件が合わずに就職ができないという人たちです。

保育人材の不足を補うためには、そうした潜在保育士の不安を払拭し、勤務しやすい環境を作っていくことが求められているのでしょう。

復帰しない理由

潜在保育士にも二種類があり「かつて保育士として勤務していたけれども退職をしてしまった」という人と「資格を取得したけれども一度も現場の仕事をしていない」という人とに分かれます。

現在の潜在保育士問題を解決するためには、このうちかつて保育士として勤務してきた人を復職させるということの方がより重要です。

保育士の仕事は勉強だけで技術が得られるわけではなく、現場で実際に子供たちに触れることで得られる部分が多いものです。

ですので経験のある保育士さんは非常に社会的ニーズが高いのですが、そうした貴重な職能のある人が保育士になることを避けているということに問題があります。

復職をためらう最も大きな理由として、まず職務に対しての給与が低すぎるということがあるでしょう。

保育士の平均給与は同年代の民間企業の給与額よりも大幅に安く、それでいて勤務時間が長いのが特長です。

子供を相手にすることで体力が求められ、年齢が高くなるほど続けにくくなるという特長があります。

そのため保育士の復職を促すためには、まず給与面の待遇を大幅に改善するとともに、力仕事を個人の負担にしないようにするための施設の働きが必要です。

職場の人員が十分に揃っていないと休暇がとりにくいという悪循環にもなります。

次にブランクが長すぎて仕事に復帰できる自信がないケースもあります。
特に10年、20年保育士の仕事を行っていなかった場合、気軽に保育士に復帰することは難しいでしょう。
そんな場合は、民間企業が行っている保育研修などを利用することができます。

徐々に研修を行っている企業は増えていますが、保育士側の積極的に働きたいという姿勢も必要です。
そのためには、やはり平均給与の引き上げが必要になってくるのです。